お知らせ
6月NEWS
2011.06.01
①税制情報
東北地方太平洋沖地震被害額は数十兆円と試算されており、復興にはさらなる資金が必要だと言われています。そこで「この資金をどうやって集めるのか」に注目が集まっています。
今国会では、可決されませんでしたが、当時法人税率の引き下げの是非が議論されていました。法人税は、利益が発生している場合にのみ生じる税ですので、儲かっている会社が納める税率は下げる必要がなく、むしろ個人の所得税を引き下げて消費を促すべきだという意見があります。
しかし、国際間では、日本の法人税率は高いので、法人税の出費を抑えたい国内企業が本社を海外に移してしまう可能性や、海外の企業が国内に法人を設立しなくなるのではという懸念があります。また国内の企業が、資金面における国際競争で不利になるおそれが生じます。こういった国際競争の観点から、法人税率の引き下げは避けられない状況にあるなか、景気低迷や震災の影響により税収の増加は期待できず、期限付きで消費税を増税する案が浮上しています。
日本の消費税は、欧州地域の付加価値税を見習って作られたそうです。
消費税率は、お隣韓国は10%、中国は17%、イギリスは20%、アメリカでは州によって違いますが9%前後など、他の国々と比べると、日本は低いように感じます。ただし、イギリスをはじめ、食料品など生活必需品は非課税としている国もありますので、一概に日本の消費税が低い税率であるとも言えないと思います。
消費税の使途については、半分以上が年金や医療のために使われているそうです。とはいえ、消費税は被災地の方々を含め、国民が平等に負担するものであるため、所得が低い場合の税負担が重くなる恐れがあります。長引く不景気で消費が冷え込んでいるところに、さらなる追い討ちになるのではないかという懸念もあります。
そのうえ期限付きで増額した場合は、すぐに必要なものではない場合や、金額が大きい家や車などは、買い控えが生じる恐れがあります。そうすると、景気回復にも悪影響を及ぼすことになりますし、本末転倒です。
少子高齢化や医療費の負担増などにより、消費税率の増加は避けられないかもしれません。ただし、食料品などの生活必需品については、減税・免税するなどの措置をとることにより、低所得者への税負担が軽くすることも併せて検討されれば、より有意義な議論になるのではないかと思います。
②6月の主な税務
6月の申告や提出の主なものは以下の通りです。ご確認下さい。
[6月10日]
・5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
[6月 30日]
・4月決算法人の確定申告
・4・7・10・1月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る消費税の確定申告
・法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る消費税の確定申告
・10月決算法人の中間申告
・消費税の年税額が400万円超の7・10・1月決算法人の3月ごとの中間申告
・消費税年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人の1ヶ月ごとの中間申告
③スタッフの一言
被災された方々の気持ちを想って、あるいは、原発依存からクリーンエネルギーへの転換に向けて、日本が全体的に自粛ムード・節電意識が高まっているように感じます。
被災された方々を想うことは、とても大切なことだと思います。
ただこれからは、当面の生活にとどまらず、中・長期的な復興を考えていかなければならない段階だと思います。
そのためには、自粛して買い物や外食を減らすというよりはむしろ、被災していない地域では、消費を活性化させて、ひいてはその活性化が被災地の企業の復興・雇用の創設につながるように、日本全体で取り組んでいくべきではないかと思います。
クリーンエネルギーへの転換志向も、日本の技術産業をさらに発展させるチャンスにつながるかもしれません。
太平洋戦争後の焼け野原からでも、目覚ましい発展を遂げてきた日本です。今回の困難も、みんなでピンチをチャンスに変えてがんばっていきましょう!!
担当 山口